思い出の品を大切に使うということ

「豊之誉」担当者の私です

「豊之誉」シリーズができあがるまでの紆余曲折は
おいおいお話しすることとして・・・

あるお客様が包丁の刃だけを持って来店されたことがありました
柄も取れてしまって刃だけ・・・
しかも柄に差し込む刃の根元の部分も錆びてぼろぼろ
柄入れする部分が小さくなってしまっていました
もちろん刃も使い込まれた雰囲気

「これは、母がとても大切にしている包丁なんです・・・」
刃には確かに「○○記念」の文字が刻印してありました
「どうにか修理していただけませんか」

初めは「これはちょっと難しいかも・・」
「新しい包丁を買ったほうが安くつくかも・・・」と
喉まで出そうになった私でしたが
柄入れする部分が少し残っているので
もしかしたら溶接すれば柄をつけることができるかもしれない
私はすぐに刃の写メを職人さんに送りました

「十分修理できますよ」

その言葉に安堵して、すぐにお客様に伝えました

「よかった、こちらなら何とかしてくれると思ったのよ」

お客様は少し涙ぐんでニッコリ微笑まれました

柄に入れる部分を溶接し
プロによって丁寧に仕上げられた包丁は
まるで新品のようでしたが
しっかりと刃には「○○記念」の刻印が

私はどうしてもお客様に一刻も早く包丁を届けたくて
ご自宅まで配達しました

そこには本当に喜んでくださったお客様の笑顔が・・

「思い出の品を修理して大切に使うということ」

私はそのことをお客様に学んだのでした